ソフトを開発しようと思った動機、背景
Webで利用できる地図は、著作権やデータ形式の都合で編集が難しいものがほとんどです。拡大すると画像が劣化してしまうという問題もあります。一方、国土地理院が公表しているベクトルデータは精密で、拡大しても劣化しませんが、対応ソフトウェアの使い方を新たに覚えるのは大変です。そこで「CADが使える人なら誰でも、無料で簡単に精密な地図が利用できるソフト」を開発しました。開発中に苦労した点
DXFの規格を勉強するのが意外に大変でした。また1回のテストランに時間を要する上、多くの設定パターンがあり、各OSで動作を確認するのは大変でした。一応、標高自動設定や地図上での範囲指定など、使いやすさに配慮したつもりです。この「気軽に利用できること」が評価され、国土地理院の「電子国土功績賞2014」を受賞しております。
ユーザにお勧めする使い方
類似ソフトと大きく異なる点は、
- 単なるデータ変換ではなく、地図としての完成度を高めていること
- 高潮や津波など、浸水範囲の簡易シミュレーションができること
- 窪地抽出により豪雨浸水の危険性を知ることができること
などです。防災機能に配慮していますので、個人の場合は自宅や職場、避難場所の水害の安全性の確認、自治体やコンサルタントの場合は高額なシミュレーションを行う前の簡易な検討ツールなどにお使いください。昨今、津波災害の見直しが急がれておりますので、時間のかかる本格的なシミュレーションの前に、いますぐ無料で被害範囲の想定が可能なこのソフトをご活用ください。防災支援にとどまらず、一般的な地図作成のツールとしてもお使いいただけます。CADにより、作成後にも自由に修正することが可能です。
シリーズソフトの「RasterMapMaker」「ShapeMapMaker」と連携させると、浸水動画や3Dプリンタの地図など、さまざまな地図を作成できます。
今後のバージョンアップ予定
機能増加にともない、動作が遅くなってきておりますので、速度の向上にも力を注いでゆく予定です。また、国土地理院や国土交通省の仕様の変更には迅速に対応したいと考えています。
(森田 伸二)