実行ファイル(QtWeb.exe)のサイズのみを見れば、約7,000KBとコンパクトでもなんでもないが、ほかにDLLや設定保存用のファイルはない。強いて挙げればオンラインヘルプ用のchmファイルがあるが、中身は英文だし、そもそもブラウザなので重要性はさほど高くないと考えると、十分に「持ち歩ける」サイズだろう。このメリットをさらに強化するのが、プライバシー保護/セキュリティ対策機能の充実ぶりだ。履歴の削除にはじまり、ユーザエージェントの切り替えや無効化、Cookieの無効化といった機能は、メニューバーから簡単に選択・設定できる。
「プライベートブラウジング」モードやソフトウェアキーボードはWeb閲覧中の安全性に、「リセット」機能は閲覧後のプライバシー漏洩の防止に役立つ。つまり、外出先の人目に触れやすい場所でも、安心して自分のブラウザを使えるし、借りたパソコンに与えるリスクも極力減らせるというわけだ。
もちろんこれらの機能が、持ち歩きやほかのユーザとの共用などしない、完全なホーム/プライベート用パソコンでも役立つことはいうまでもない。
「ウェブインスペクタ」もおもしろい機能だ。本体の大部分が日本語化されているのに対して、この機能は英語版のままなので、使いこなしの点で課題が残るが、HTMLのソースやスタイルシート、スクリプトなどのチェックに役立つ機能を備え、Webサイト開発のためのサポートツールとしてもおもしろそうだ。
なお、筆者のテスト環境とはやや相性が悪いのか、日本語入力のモードによってはアドレスバー、検索バーに文字が入力できなくなるという現象が見られた。念のため、ご報告しておく。
(福住 護)